注意すべき有毒植物「トリカブト キンポウゲ科」

 野草のなかに猛毒もったものがあり、その代表はトリカブトといえる。
春の山菜の時期の根葉が、ニリンソウに似ているということで、山菜図鑑などには必ず毒草として紹介される。
北海道では山地におおく自生し、特に珍しいものではないが、トリカブトを知る人は意外にすくない。それは夏から秋にかけて綺麗な花が咲くのに、庭などに植えられることがほとんどないからだ。


 エゾトリカブト[ 若葉 葉柄 ]
 カラフトブシ[]

 有毒、特に毒性が強いトリカブトは、口に入れると強い苦味や刺激が有るように思うが、トリカブトの若葉や柄を摘んで、よく噛んでみても全く癖やいやな臭いがない。むしろ、シャキッとして口当たりがよく、わずかに甘味があって、味はニリンソウに似て美味しい。
「味見の後は必ず吐き出すこと」

 芽がでて茎が伸びるまでは、根元、茎、葉柄などが濃い赤紫色をおびるので、ニリンソウと区別できるが、生育環境によって赤色が薄いこともあるので注意が必要である。
茎が伸びるようになると赤みが薄くなるが、ニリンソウは茎が太くなることがないので区別できる。

【クマを誘惑するアイヌの神】

 トリカブトの根をすりおろして粘液をつけた毒矢をつくり、クマのとおり道に仕掛けたアマック(仕掛弓)につがえたり、射ったりした。
トリカブトは女神で、山の神のクマを誘惑する。つまりトリカブトはクマを殺すのではなく、部落まで案内するのだ。
この毒矢にあたったクマは数分の後に倒れてしまう。

【牧草地のトリカブト】

 毎年、春と秋に遊びに行く牧場には、放牧地にトリカブトが生えている。
春に子牛が間違えて食べると、中毒を起こし首を痙攣したように振りながら、口から泡を吹くそうだ。しかし、秋の地上部は毒が少ないのか、誤食してもひどい中毒にはならないらしい。
ちなみに、馬は間違って食べることは、ほとんどないといっていた。